ときどき、
もう乗り越えたと思ってしまうことがあります。
あの頃のことは、
もう今には影響しないはずだと。
けれど、
ある瞬間に、
どこかで感じたことのある感覚が、
ふいに戻ってくることがあります。
理解するよりも先に、
感情だけが動き出してしまう。
不安や疲れ、
理由のはっきりしない重さが、
静かに身体を満たしていきます。
そこで、
なんとか元に戻ろうとする。
落ち着こう、
ちゃんとしよう、
前に進まなければ、と。
けれど、
そうすればするほど、
かえって静かになれなくなる。
あるとき、
ただ立ち止まることにしました。
やるべきことを一度手放して、
無理に整えようとするのをやめる。
感情があるなら、
それを否定しない。
押さえ込もうともせず、
ただそこにあるままにする。
泣きたくなったら、
そのままにしておく。
すると少しずつ、
あの鋭かった感覚が、
やわらいでいきます。
まるで、
身体に刺さっていたものが、
少しずつ遠ざかるように。
そして気がつくと、
また自分のリズムに戻っている。
いつも強くいなくてもいいのかもしれません。
ときには、
傷つくことを許すだけで、
それで十分なのだと思います。